甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「俺はお前の上司だぞ。上司の俺に相談するべきだろ?毎回、見下されていいなりとかありえないぞ」
「…」
「おい、さっさとアポ取れよ」
「…はい」
悔しい…
今回こそは自分で最後まで成し遂げて、この男に見直させたかったのに、結局、今回も高山チーフに頼ることになってしまった。
上司である彼がどの企画書にも目を通すのは当たり前のことで、私以外も呼び出され、やり直しやボツをくらうのはよくある光景だ。
が、私のように主催者側に圧をかけられ、言いなりになってしまう人は、誰もいない。
この仕事について3年目なのに、情けないやら、悔しいやらで、溢れそうな感情を堪える為に、グッと歯を食いしばった。
ポケットから出したスマホの通話画面を開き、主催者側の担当者に電話をかけ、数回のコールで担当者が電話に出た。
「お世話になっております。アシスト企画の小柴です」
『あー、小柴さん。どうしました?』
「ラーメン祭の件ですが、見直しをさせて頂きまして、新しい案をお持ちしますので、もう一度、ご検討頂けないでしょうか?」
『だからさー、前にも言ったよね。これでいけってこっち側が言ってるんだからさ、おたくは、言われた通りに開催してくれればいいんだよ』