甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
やはり、私も、そこいらの女と変わらないらしい。

体を許してしまうと、好きが溢れてくる。

嫌いだと言い続けても、結局は、この男に惚れているのだ。

だが、気がついたからと言って、恋人のようにベタベタするつもりはない。

母のように、愛が重すぎておかしくなるぐらいなら、セフレぐらいの距離感が丁度いい。

いや、今回限りだ。それならきっと、割り切っていられる。

そう思っている時点で、もう、彼に沼っているのだが、この時の私は、抗うことに必死だった。

「どうしたんですか?たかだか体の相性が良かっただけで、私達、そんな甘い関係じゃありませんよ」

胸がチクリとして、自分で言って傷つくぐらいなら言わなきゃいいのに、口はとまらない。

「満足したでしょ?明日からは、上司と部下に戻りましょう」

ムッとした表情をする男。

「戻れると思ってるのか?もう、俺なしじゃいられないくせに」

「はっ⁈そんなことありませんよ。不感症じゃないと感じさせてくれて感謝してますけど、他の人ともできるってわかったので、どんどん恋愛を楽しみます」

「そんなの許すかよ。わからせてやる」

そう言ったと同時に、背後から胸を弄られながら、うなじを唇がなぞり、噛みつくように耳を
侵されて、トランクスにするりと手が入り込む。
< 51 / 145 >

この作品をシェア

pagetop