甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
首にある小さな引っ掻き傷を見つけるなんて、さすが、ファンだけあって目ざとく見つけるなぁと感心する。

「傷なんて気にならないぐらい猫って可愛いんですよね。でも、野良猫ですよね。消毒しました?消毒液とってきましょうか?」

「大丈夫。舐めてくれたし、ちゃんと消毒したよ」

「そういうことをするから、猫ってツンデレで可愛いんですよね」

向こうで盛り上がっている中、こちらの島が2人きりなことをいいことに、朱音さんはニヤニヤと笑っている。

「どんな猫ちゃんだったのかしら?」

「…」

睨んでも朱音さんには効き目はなく、余計に、ニタついている。

あーもう。
お昼のランチは、揶揄いに時間を潰されることになると、目を覆うのだった。

始業時間になり、皆がそれぞれに仕事を開始する。

「小柴、担当者に連絡したか?」

「あっ、今からします」

「しっかりしろ。うちに決まったからと油断してるなよ。イベント終わるまで緊張感を持て」

体を重ねても、態度は変わらない。

突然、態度を変えて仕事に影響するのは困るが、そんな言い方をしなくてもいいではないかと思うのだった。

「はい。すみませんでした。気をつけます」

「…頼むな」
< 56 / 145 >

この作品をシェア

pagetop