甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
私のいつになく反抗的な態度に驚いた高山チーフは、珍しく声を柔らかく変えてきた。
が、私は、怒っている。
何が、野良猫だ。
私の腰痛に比べたら、引っ掻き傷で済んでよかったではないか。
主催者側の担当者、若林さんは苦手だが、仕事なので割り切って連絡をとり、今後の打ち合わせについて話をつめたのだ。
その後、協力店をピックアップし、資料作成をして午前中の時間は過ぎていった。
「菜々緒ちゃん、談話室行こうか⁈」
「…あっ、はい」
普段なら、自分達のデスクでお弁当などをひろげて食べているが、今日は、拒否権は通用しないようだ。
チラッと高山チーフを見ると、視線がかち合う。
朱音さんに、洗いざらい白状させられそうなのも高山チーフのせいだと思うと、再び、怒りが湧く。
(ふん)
鼻息荒く顔を背け、朱音さんの後を追ったのだ。
2人並んで談話室へいく前に、自販機で飲み物を購入しようと立ち止まった。
「朱音さん、先行っててください」
「わかったよ」
チラリと後方を見た朱音さんは、ニンマリとし小走りに談話室へ行く姿を小首を傾げ見送り、財布を探していたら、カチャンとお金の落ちる音とガタンと落ちる音。
「ほら」