甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る

担当者の声が荒がり、横柄な話し方が漏れている。

サッと私の手からスマホが抜き取られ、高山チーフが対応しだす。

「お電話代わりました。小柴の上司の高山と言います」

電話口の向こうの相手は、突然のことに戸惑って、しどろもどろだ。

『はっ?と、突然、どうして?』

「突然のことで申し訳ありません。今回の企画は、私も楽しみにしている一人として、急ぎお電話させて頂きました。予定の開催会場の広さなら集客を集められるでしょう。ですが、出店される店舗の配置と飲食スペースの配置では、このまま開催されて集客を得ても、売り上げの偏り、売り上げが伸びない店舗が出てきますし、そちらの会場に足が向かない可能性があります。来年、再来年と開催されることを考えておられらなら、初めが肝心とは思いませんか?出店されるお店にもお客様にも、また、来たいと思って頂くような新たな案をご相談させてください。一緒に成功させましょう。そして笑顔で打ち上げしましょうよ。その為にも、ぜひ、お時間を作って頂けないでしょうか?」

『…来年、再来年…そうですね。是非、お願いします。こちらは、いつでも構いません』

ほら、この男の口車にかかれば、大抵の難敵も
素直に頷くのだ。

口の上手い男は嫌いだ。
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