甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
その間にも、目を引くチラシ作成の会議に、主催者側との打ち合わせ等、忙しい日々で、悩む暇もなく高山チーフとも、今まで通りに過ごせている。
「小柴、チラシの刷りの発注迫ってるんだぞ。どうなってる?出店者側の空白の欄がある。どうするんだ?説明しろ」
「もう少し待ってください。印刷所にはギリギリまで待ってもらってます。今回、どうしても出店して欲しいお店があるんです。今、何度も足を運んでお願いしてる所なんです。絶対、頷いてもらいますから、お願いします」
「馬鹿野郎。俺達は主催者側から依頼されてるんだ。お前の願望なんていらないんだよ。代わりの出店先を探して、印刷に回せ」
「嫌です」
「はぁっ?…その店に固執する理由があるのかよ」
反抗的に反論した私に驚いた高山チーフは、怒りを抑えて、意見を聞いてくれようとする。
「はい。出店の決まったお店は、それなりにメディアに取り上げて有名なお店もありますが、メディアになかなか露出しない隠れた名店にも足を運んでお願いしました。そのうちの一つなんですが、どうしても今回、出店してほしいお店なんです」
「メディアに露出したくない店なら、頷かないだろう。諦めろよ」