甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「ふん、俺のラーメンを食べたあんたらが一番わかってるだろう」
「えぇ、とても美味しかったです。今度はプライベートで2人で通います」
「…なるほどね。姉ちゃんのこれだったかい」
なぜか上機嫌に親指を立てる店主に、高山チーフは否定も肯定もせずに笑う。
「では、改めて契約書等を持って、近々、小柴が伺います。店主のお気持ちを無碍にすることないよう、努めさせていただきます。ありがとうございました」
深々と店主へ頭を下げている高山チーフと一緒に「ありがとうございます」と私も頭を下げるのだ。
「よしてくれよ。今時にない嬢ちゃんの頑張りと、嬢ちゃんの為に…おっと。年寄りは口が軽くていけない。まぁ、ちょっとは、興味あったんだ。ただ、偏屈なジジイは素直になれなくてね。お兄ちゃんが煽ってくれたおかげだ。喜んでもらえるよう、頑張るさ」
高山チーフを見ていた店主は、わざとらしく口を閉じた後、出店することを楽しそうにしている様子に、ホッとする。
「当日は、人手が入り用でしたら、この小柴をお貸しいたしますので、遠慮なく言ってください」
「私⁈是非、お手伝いさせていただきます」
高山チーフの睨みに負けて、意気込みを宣言すると、大いに笑われた。