甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
「ありがとうよ。是非、手伝ってもらわなきゃな」
近々、伺うことを約束して、私達はお店を後にした。
「高山チーフ、ありがとうございました。おかげで、店主も頷いてくださって、ラーメン祭、楽しみになってきました」
「店主もお前の頑張りだって言ってたろ。俺は、あの店主の気持ちを突いただけだ」
「そうだったとしても、私だけでは、頷いてくれなかったと思います。毎回、高山チーフに助けられてばかりな気がして、情け無いです」
「そう、落ち込むな。俺はお前の上司だ。俺にできることなら、お前じゃなくても、助けてる」
「私以外の人も助けてるんですか?」
「時と場合によるがな。こんなに、ほっとけないのはお前だけだぞ」
なんだか、特別扱いされている気がしてしまう。
「すみませんね。手のかかる部下で」
「ほんとに悪いと思っているなら、わかるだろ⁈」
路地の奥まった店の影に連れ込まれて、壁に腕をついた高山チーフと、壁との間に挟まれる。
「なんですか?」
こんな雰囲気でわからないほど子供じゃないが、あえてわからないふりを通す。
「チッ…最近、お互い忙しすぎて2人きりにもなれていない。このまま帰れると思ってるのか?」