甘やかで優しい毒〜独占欲強めな彼に沼る
突然、脳裏によぎってしまった高山チーフとのベロチューの光景。
これまで、何度もキスしてきたというのに、印象的だったせいか、鮮明に思い出せるのが恥ずかしい。
「もう、やだぁ…」
若林さんとの気持ち悪い時間を塗り替えるぐらい効果は抜群だったのだ。
別の意味で、ドキドキとして、頬は熱くなり、彼との印象的なキスが次々と出てくるのだ。
そして、今日された優しいキスに、再びときめいて項垂れる。
どうも、最近の自分は心が制御できない。
父に盲目になって壊れてしまった母のようになりたくないからと、心を閉ざして、嫌いだと言い続けて一定の距離をおいてきたというのに、あの日、2人の関係が大きく変わった辺りから感情が乱されている。
「困るよ…高山チーフしか見えなくなりそう」
そう、危機なのだ。
大抵の女の人なら、キャーキャー騒ぐだろう、イケメンの部類に入る若林さんを前にしても、何のトキメキも起こらないし、逆に、嫌悪しかおきない辺り、やばい気がする。
「はぁぁ…」
このままだと母のように、一人の男しか見えず、嫉妬深い女になりそうで怖い。
彼の全てを知っていないと気がすまない、おかしな女になって、嫌われてしまったらと思うと、怖くて仕方ない。