疑似カノ
「ねえ、聡くん」

「ん?どーした?」

「この間ね、友達とお買い物してたら、ナンパされかけたの!」

「…おお」

「そしてね、他に好きな人がいるのでお付き合いはできませんって言ったら、じゃあこれだけプレゼントさせてってネックレスもらったの!」

「…ふーん」

「値段調べてみたら結構高くってびっくりしちゃった!」

「…はあ」

心底興味ない雰囲気を醸し出している聡に話しかけ続ける澪花。

そして合いの手を入れる取り巻きたち。

こういうのが一番嫌いだろうに、会話の最低限度の相槌はうつ聡には、もはや尊敬する。

気づいたら、話題はそのまま澪花の過去のデートの話になっていた。

「誰と行ったの?」

だんだん機嫌が悪くなってきていることに、澪花は気づいていない。

「誰かは言えないなぁー。言ったら殺されちゃう。」
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