疑似カノ
せっかく良いところまでいっていたのに、なんて思っているのだろうか、かわいそうになどとぼんやり考えていると、

「ねえ、あんた。さっきうちと聡くんが話してる時ニヤニヤしてたでしょ。どんな性格してんのよ。」

それはこっちが言いたい。

いきなりケンカ腰で人に話しかけるやつがどこにいる。

どんな神経してるのか。

とはいえ売られたケンカを買うほどこちらは馬鹿じゃないので、適当に聞き流しながら帰り支度を進める。

別に今始まった話じゃない。

ちょうど虫の居所が悪いときに不都合な光景を見てしまってから、澪花の理不尽な攻撃は続いている。

もう慣れたものだ。
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