疑似カノ
自分と聡は同じ小学校だった。

いわゆる腐れ縁というやつだ。

小学校の頃までは、別に特段仲が良かったことはない。


だが聡はそうは思っていなかったらしい。

実は聡は極度の人見知りである。

だが人見知りだと思われたくないからそうは見えないだけで。

唯一話せる相手として、自分によく話しかけるようになった。

お互いに過去を知っている相手でもあったから、悩みや愚痴があれば話し、聞いた。

中学校生活が進んでいくにつれそれぞれ友達ができ、話す機会は少なくなったが、それでもときたま話し合うぐらいの仲だった。

澪花が見たのはその一場面だった。 

後ろめたいことでもないので堂々と話していたのだが、その姿がきっととても親しく見えたのだろう。

こちらからすればとんだ大迷惑だが、そんなことは澪花には関係ない。

私の王子様を取りやがって、ということである。

その出来事からもうすぐ半年になる。

そして嫌がらせはずっと続いている。
< 7 / 8 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop