ご褒美を頂戴♡
「な、なに…」
「早く、してよ」
オリビアはぎくりとし、はぐらかす。
「な、なんの事かしら。もう帰りましょうよ。疲れたわ」
「僕のおかげで、上手くいったでしょ。授業料、ちょうだい」
「い、いい、いや、ちゃんとお礼は言ったわ」
「ダメ。足りない」
ハヤトは、離れようとするオリビアを引き寄せ、耳元で囁く。
「ねぇオリビア、早く僕の胸につけてよ………キスマーク」
「や、やだ!何言ってるの!」
オリビアは顔を赤くして首を振った。
(だから、来ないでって言ったのに!!)
これが最大の理由だった。これだからハヤトに教わるのは嫌なんだと、後悔する。確かに教え方は上手いし、分かりやすい。怒りもせず、口うるさい訳でもない。ただし終わった後に必ずこうなるのだ。しかも一度受け入れてしまうと、ハヤトの要求はエスカレートする。毎回、恥ずかしくてたまらない。
「オリビア、お願いだよ。君の印が欲しいんだ」
「この間もそうやって言ってどんどん面倒な事になったじゃない!」
前回は、魔法薬調合の課題中に横からアドバイスを出された。おかげで成功するも、その日の夜はなかなか眠らせて貰えなかった。
「ほら、こことかどう?胸の下辺り。この位置だと誰にも見られないよ。2、3個でいいから」
こういう時、要求するとしても1つが定石なのに、ハヤトは遠慮というものを知らない。
「絶対いや!ここ、外だし!」
「じゃあ、誰にも見られなければいいって事だね」
そう言ってハヤトは懐から杖を取り出し、呪文を唱える。2人の周囲にバリアが張られた。