ご褒美を頂戴♡

「え?無理!充分でしょ!」

「嫌だ。付けてくれないなら、やっぱり僕も付ける」

「!?話がちがっ…」

再び力強く引き寄せられる。もう周囲の目くらまし魔法も消えそうになっているというのに、いくら断ってもハヤトはやめようとしない。

「だからっ、人目につくのが嫌なんだってば!」

「見せつけようよ」

すぐに調子に乗るハヤトに、オリビアの堪忍袋の緒が切れた。次の瞬間、バチンと音が鳴った。

「いっ……………」

肝心な時にバリアは間に合わない。ハヤトは頬を押さえた。オリビアは彼に熱い平手打ちを喰らわせた。

「…はい。どうぞ、とびきり強いやつ。良かったわね、あなたの大好きな痕もしっかりついたわ」

彼の頬には、赤い手形が残っている。

「オリビア……これはちょっと強すぎるよ……」

痛そうに顔をゆがめるが、ほんのわずかに笑っている。

「あなたが悪いのよ。反省してね」

オリビアはそう言って宿舎に戻った。ハヤトからは金輪際、アドバイスは貰わないようにしようと固く誓う。自力で、地道に頑張るのみだ。

(ごめんね、ハヤト。でも、これで少しは落ち着くかしら)

「う……ごめんね。もうズルしないから」

ハヤトは申し訳なさそうに声を掛けたが、次はバレないようにやろう、と思うだけであった。




終わり
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