紫苑くんとヒミツの課外授業


普段あまり話さない滝川くんが、まさかそんなことを言ってくれるなんて予想外で。

私は、つい目を丸くしてしまう。


思い返してみれば、さっきの数学の授業で私が先生に指名されて答えられなかったときも……。

聖来と一緒になって私のことをバカにするクラスメイトが多い中で、滝川くんはそうではなかった。


彼になら……話しても良いかな?


祖母がいなくなった今、誰にも心の内を聞いてもらえていなかった私は、正直そろそろ限界だったのかもしれない。


「あの……滝川くん。良かったら話、聞いてくれる?」

「ああ」


それから私は滝川くんと、次の授業をサボって。

学校の屋上で、彼に話を聞いてもらった。


いつも妹と比べられていること。

大好きな祖母が亡くなったこと。

母親に、いないほうが良かったと言われて傷ついたこと。

勉強しても成績が上がらず、悩んでいること。


苦しい胸の内を全部、全部……私は滝川くんに話した。


滝川くんは私の話を嫌な顔一つせず、時々相槌をうちながら、最後まで聞いてくれていた。


「そっか……苦しかったね」


滝川くんの大きな手が、私の頭へとのせられる。


「水瀬さん、今まで一人でよく頑張ってきたね。俺は、水瀬さんがいてくれて良かったって思うよ」


滝川くんが、私の頭をそっと撫でてくれる。


「水瀬さんのお母さんは、キミに良いところなんかないって言ってたみたいだけど……水瀬さん、良いところはいっぱいあるよ?」

「え?」

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