紫苑くんとヒミツの課外授業
「だって水瀬さんは、誰もやらない教室の花の水やりをしてくれてるし。この前の体育の授業でも、体調が悪そうな子にいち早く気づいて。保健室まで付き添ってあげていたじゃない。君は、本当に優しい女の子だよ」
滝川くんが、優しく微笑む。
まさか、私のことを見てくれている人がいたなんて。
私は目頭が熱くなり、涙が溢れて止まらなくなる。
「……ありがとう。滝川くん、本当にありがとう」
「ううん。俺はただ、本当のことを言っただけ」
滝川くんが、私の目元の涙を指で優しく拭ってくれる。
それが何だか、いつかの祖母みたいで。
私は、また泣けてきてしまった。
「……それにしても、水瀬さんの話を聞いてたら、何か腹が立ってきたなぁ」
「え?」
「いや。実は俺も小学生の頃、親に優秀な姉と比べられていたときがあったから。何だか他人事とは思えなくて」
そうなんだ。あの滝川くんにも、そんなことがあったんだ。
「……そうだ。俺、いいこと思いついた」
「いいこと?」
「うん。水瀬さん、これから俺と一緒に勉強頑張って、今度の期末テストで妹よりも良い点とって。聖来たちを見返してやろうよ」
「ええ!?」