紫苑くんとヒミツの課外授業
2. 課外授業のはじまり
翌日の放課後。
SHRが終わると、私は急いで教室から図書室へと向かう。
昨日、これから一緒に勉強を頑張ろうと話した私と滝川くんは、期末テストまで放課後は毎日図書室で勉強することに決まった。
私が図書室に着くと、滝川くんは既に来ていた。
「滝川くん、お待たせ」
「ううん。俺も少し前に来たところだから」
私と滝川くんは、図書室の奥にある自習スペースに隣同士で腰を下ろす。
「それじゃあ、さっそく秘密の課外授業始めますか」
滝川くんの『秘密』という言葉に、私は少しくすぐったい気持ちになる。
どうせやるなら、放課後に二人でこっそりと頑張って、皆を驚かせようということになったんだよね。
だから、“ 秘密の課外授業 ”。
「よろしくお願いします、滝川先生」
「ちょっ、さすがに先生はやめてよ。面白いなぁ、咲来は」
滝川くんが、肩を震わせる。
「それじゃあ滝川くん、お願いします」
「ううん。“ 滝川くん ” じゃなくて……」
滝川くんの艶のある唇が、私の耳元に近づく。
「これから咲来には俺のこと、“ 紫苑 ” って呼んで欲しい」
「え!?」