紫苑くんとヒミツの課外授業


学校から15分ほど歩いて、家に到着。


「紫苑くん。家まで送ってくれてありがとう」

「ううん。ていうか、咲来の家ってやっぱり豪邸なんだね」


家の前まで送ってくれた紫苑くんが、大きな門構えの三階建ての我が家を見て言う。


「そ、そうかな?」

「うん。咲来の親の会社、ミナセホールディングスだったっけ?」

「うん、そうだよ。あの……紫苑くんちは? お父さんはやっぱり、会社の社長さんか何か?」

「え、俺んち?」


紫苑くんの眉が、ピクっと動くのが分かった。


「あー……俺の家は、ごくフツーのサラリーマンの一般家庭だよ。だから、家も普通」


そういえば、紫苑くんの家の話は一度も聞いたことがなかったなと思って、ほんの軽い気持ちで聞いてみたんだけど。

もしかして、聞いたらまずかったかな?


「悪い。家のこと、あまり触れられたくなくて」


ふいっと、私から顔を背ける紫苑くん。


< 21 / 68 >

この作品をシェア

pagetop