紫苑くんとヒミツの課外授業
学校から15分ほど歩いて、家に到着。
「紫苑くん。家まで送ってくれてありがとう」
「ううん。ていうか、咲来の家ってやっぱり豪邸なんだね」
家の前まで送ってくれた紫苑くんが、大きな門構えの三階建ての我が家を見て言う。
「そ、そうかな?」
「うん。咲来の親の会社、ミナセホールディングスだったっけ?」
「うん、そうだよ。あの……紫苑くんちは? お父さんはやっぱり、会社の社長さんか何か?」
「え、俺んち?」
紫苑くんの眉が、ピクっと動くのが分かった。
「あー……俺の家は、ごくフツーのサラリーマンの一般家庭だよ。だから、家も普通」
そういえば、紫苑くんの家の話は一度も聞いたことがなかったなと思って、ほんの軽い気持ちで聞いてみたんだけど。
もしかして、聞いたらまずかったかな?
「悪い。家のこと、あまり触れられたくなくて」
ふいっと、私から顔を背ける紫苑くん。