紫苑くんとヒミツの課外授業
3. 初めて
翌朝。
「やばい、やばいよぉ」
私は今、学校の校門をくぐり抜け、教室までの廊下を走っている。
昨夜は、紫苑くんからメッセージの返事が来ないことが気になって、なかなか寝付けなかったから。
朝起きるのが、いつもよりも遅くなってしまった。
そのせいで私は今、人生初の遅刻をしてしまうかもしれないピンチなんです。
「……はぁ、はぁ。予鈴の5分前だ。良かった、間に合った……」
猛ダッシュで教室の前に着いた私は、肩で息をしながら教室の扉を開ける。
──ガラガラ。
私が教室に入ると、クラスメイトの視線が一斉にこちらへと集まるのが分かった。
えっ、何?