紫苑くんとヒミツの課外授業
し、紫苑くん……!
「あらあら。噂をすれば、咲来ちゃんのお相手がご登場ね」
今まで静観していた聖来が、黒板の前までつかつかと歩いてきた。
「は? 噂?」
聖来の言葉を聞いて黒板を見た紫苑くんの目が、大きく見開かれる。
「何だよ、これ……」
「ふふ。咲来ちゃんと一緒で、滝川くんも地味だから。ほんと、似たもの同士で二人はよくお似合いだわ〜」
何がそんなにおかしいのか、聖来と一緒になって派手な他の女子たちもクスクスと笑う。
ひどい。私のことだけならまだしも、紫苑くんのことまでバカにするなんて。
「聖来。今言ったこと、訂正して」
気づいたら、私は口が勝手に動いていた。
「……は?」
「私のことは、何て言っても構わないけど。紫苑くんは、私なんかと全然違うんだから」
「さっきから何を言ってるの? 咲来ちゃん」
私が初めて妹に意見したからだろうか。聖来は、少し驚いている様子。
だけど、紫苑くんのことを悪く言われたのはどうしても許せなくて。私は口が止まらなかった。
「紫苑くんは勉強もできて、優しくて。笑顔がすごく素敵で。私とはちっとも似つかない。だから、私と一緒にしないで。紫苑くんに謝って!」