紫苑くんとヒミツの課外授業
SHRが終わり、今は数学の授業中。
「……だから、答えはこうなるの。それじゃあ、みんな。次の応用問題をやってみてちょうだい」
数学の先生に言われて、生徒たちは問題を解き始める。
さすがに応用問題なだけあって、難しいな。
うーんと、私は頭を抱え込んでしまう。
あれ。でも、この問題って……。
落ち着いてよく見てみれば、この問題と似たものを少し前に図書室で紫苑くんと一緒にやったことに気づいた。
あのとき、紫苑くんはどう言ってたっけ。
頭の中に、紫苑くんの優しい顔を思い浮かべる。
『いい? 咲来。この問いは一見難しく見えるけど……』
そうだ。これは、こう解けば良いんだ。
ノートの上でしばらく止まっていたシャーペンが、動き始める。
「よし、できた!」
「えっ、できた? それじゃあこの応用問題は、咲来さんに答えてもらおうかしら」
え!?
教卓の近くの席だからか、思わず出てしまった声が先生に聞こえてしまったらしく、私は指名されてしまった。
「咲来さん、答えは?」
先生が私を見つめるのと同時に、クラスメイトの視線が一斉に自分に集中する。