紫苑くんとヒミツの課外授業
『あなたは決して、いらない子なんかじゃないわ。ママが何て言おうと、おばあちゃんはサクちゃんが大好きだから』
『ほんと?』
『ええ。それに、サクちゃんがいてくれておばあちゃんはすごく幸せよ。だから泣かないで、サクちゃん……』
おばあちゃんが、指で私の目元を優しく拭ってくれる。
『サクちゃん。あなたは可愛いけど、笑うともっと可愛いんだから。いつも前向きで、笑顔でいなさい。あと、人には優しくね』
『わかった』
焼き芋を食べ終えると、私はテーブルの上に持ってきていた問題集を広げる。
『あら。サクちゃん、お勉強?』
『うん』
ちょっとでも次のテストで良い点が採れるように。少しでも聖来に近づけるように……頑張らないと。
私は、シャーペンを黙々と走らせる。
『あまり無理するんじゃないよ?』
『ありがとう、おばあちゃん』
『少しくらい勉強ができなくても、おばあちゃんはサクちゃんが元気で、毎日笑顔でいてくれればそれで良いんだから。サクちゃんだけでなく、もちろんセイちゃんもね』
そう言っておばあちゃんは、私の肩にそっとブランケットを掛けてくれた。