紫苑くんとヒミツの課外授業


すると、途端に心臓がバクバクとうるさくなる。


うわ、まただ。この感じ、この間先生に指名されて答えられなかったときと一緒だ。


私は思わず、目をギュッと閉じてしまう。


もし自分の答えが間違っていて、また聖来たちにバカにされたらと思うと怖いけど……。


私は、制服の上から胸の辺りを手で押さえる。


今答えなかったら、あのときと同じ。

それだけは、やっぱり絶対に嫌だ。


紫苑くんにこれまで何度も教えてもらってきたんだから、きっと大丈夫。自信をもって……。


私は深呼吸すると、先生のほうを真っ直ぐ見つめる。


「えっと、y=3です」

「はい、正解です」


やった……!


苦手な数学の授業で指名されて、初めてちゃんと正解できたのが嬉しくて。

私は、机の下で小さくガッツポーズしてしまった。


すると、どこからか視線を感じたのでそちらに目をやると、聖来が少し悔しそうな顔で私のほうを見ていた。

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