紫苑くんとヒミツの課外授業
4. 紫苑くんの素顔
放課後。
私と紫苑くんはいつものように、図書室の自習スペースに並んで座っていた。
期末テストまで1週間を切ったけど、相変わらずここには私たち以外誰もいない。
「ねぇ、紫苑くん。私、今日の数学の授業で初めてちゃんと答えられて。そのあと、ナナちゃんたちに声をかけてもらって。凄く嬉しかったんだ」
「ああ。ちゃんと見てたよ。やったな、咲来」
紫苑くんが、ふわりと微笑む。
「紫苑くんが、こうして毎日私に勉強を教えてくれてるお陰だよ。ありがとう」
「ううん。それは、咲来が一生懸命頑張ってきた結果だよ」
眼鏡の奥の目が細められ、紫苑くんの顔がこちらへと近づく。
「ねぇ、咲来。今日頑張ったご褒美に、キスしてあげよっか?」