紫苑くんとヒミツの課外授業


「ねぇ、咲来。そろそろ勉強始めないと、時間なくなるかも」


紫苑くんに言われて図書室の時計に目をやると、ここに来てから軽く30分は過ぎてしまっていた。


「わっ! ごめん。テスト前なのに……」


ひとつのことに夢中になるとつい時間を忘れてしまうところ、私の悪いクセだ。


「いいよ。それじゃあ気を取り直して、今日の授業始めようか。何からする?」

「えっと。今日は、日本史をやりたい」

「咲来、日本史苦手なんだ?」


紫苑くんに聞かれた私は、大きく頷く。


西暦何年に何があったとか、歴史上の人物名とか。ややこしくて、頭の中がぐちゃぐちゃになるんだよね。


「そうだなぁ。歴史はやっぱり漫画で読むのが、分かりやすくてオススメかな。あと、大河ドラマを観たりするのも良いかもしれない」

「なるほど」


それから紫苑くんがオススメだという歴史の漫画を教えてくれたので、私は図書室でその本を探すことにした。


えーっと、どこだろう。

私は書棚を一つ一つ見ながら、図書室の中を歩きまわる。

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