紫苑くんとヒミツの課外授業


あっ、あった。


だけど、ようやく見つけたお目当ての本は、棚の一番上に置かれていた。


よりによって、一番上に置かれているなんて。


高い書棚を見上げて、私はため息をつく。


そしてその本を取ろうと、かかとを上げて精一杯背伸びをするけれど。


「うっ、届かない……」


やっぱり身長150cmの私が、背伸びをして本を取ろうとするのは無理があった。


私は、離れたところにある踏み台を棚の前に持ってくると、再びその上に立って背伸びをする。


「うわ。台に乗ってもまだ本に手が届かないなんて。どれだけチビなの、私」


それでも諦めずに頑張ってつま先立ちをし、手を伸ばしていると、突然体が後ろにグラッと傾いた。

< 36 / 68 >

この作品をシェア

pagetop