紫苑くんとヒミツの課外授業
“ いつも前向きで、笑顔で ”
“ 人には優しく ”
それが、祖母の口癖だった。
だから私は、小学生の頃から中学2年生になった今でもずっと、祖母の言いつけを守るようにしている。
* * *
中学2年生になって1ヶ月半が経ち、新しいクラスにも少し慣れてきた5月のある日。
時刻は朝の8時前。私は一人、歩いて学校へと登校してきた。
お城のような広い校舎の校門前のロータリーには高級車が数台とまり、それを横目で見ながら私は校門をくぐる。
ここ、私立西ヶ花学園は財閥や大企業社長の子女が多く通ういわゆるお金持ち学校。
ちなみに私の家は、祖父の代から “ミナセホールディングス ” という会社を経営しており、父親が現社長。
そのため私は、世間一般よりも少し裕福な家庭で育ってきた。
小学6年生のとき、私は父に言われて聖来と共にこの西ヶ花学園の中等部を受験した。
聖来は受験生の中でもトップ3に入る好成績で合格したのに対し、私は合格ラインギリギリで受かったのだった。
それから中学生活も2年目となった現在。
私には、毎朝とある日課がある。