乳房星（たらちねぼし）−１・０

【ワルツ】

話は、ゆきさんが４つか５つぐらいの時であった。

場所は、大阪ミナミのなんばプランタン（いまはビッグカメラ）のすぐ近くにある自由軒（レストラン）にて…

いつ頃であったかは分からないが、大番頭《おおばんと》はんたち家族９人（まだこの時、遥輝《はるき》は家にいなかった）は、ここへごはんを食べに来た。

大番頭《おおばんと》はんたち家族は、ここの名物料理のカレーチャーハン（上に生タマゴがのっているカレーライスと言うたらわかると思う）を頼んだ。

このあと、大番頭《おおばんと》はんたち家族９人は男子大学生がひとりで座っていた席に勝手に座った。

それが原因で、ゆきさんがトラブルを起こした。

それから５分後であった。

男子大学生が頼んだ日替わり定食が到着した。

この時、男子大学生が食べている日替わり定食をゆきさんがほしそうな目で見ていた。

男子大学生は、ものすごく困った表情を浮かべた。

この時、ゆかさんがゆきさんに声をかけた。

「ゆき!!」
「ゆかねーちゃん…」
「ほしそうな目で見ないの!!」
「だって…お腹が空いてるもん…」
「うちらは、ここのカレーチャーハンを食べるのよ!!」
「お腹が空いてるから待てない…」
「困った子ね!!」

ゆかさんはカレーチャーハンができるまで待ちなさいとゆきさんに言うたが、ゆきさんは『待てない…』と言うてダダをこねた。

ゆなさんとゆみさんは、『待てない!!』と言うたゆきさんに対して『あと300数えたら来るよ…』などと優しく言うなどしてゆきさんの気持ちを和らげた。

しかし、ものすごく困った表情を浮かべていた男子大学生は、定食を食べることができなかった。

そうこうして行くうちに、男子大学生はがまんの限度を超えそうになった。

男子大学生は、くやしい表情でゆきさんに言うた。

「なんやねんもう!!そないに食べたいのであれば食え!!」

男子大学生から定食を与えられたゆきさんは『わ～い』と言うて喜んだあと定食を食べた。

この時、大番頭《おおばんと》はんがひどくソワソワしながら男子大学生に言うた。

「ああ、えろうすんまへんでした…ゆきが大メーワクをかけてすんまへんでした…」

男子大学生は『かまへんかまへん…』と言いながらヤセガマンした。

この時、カレーチャーハン９人分が到着した。

この時にひどいもめ事が発生した。

（パチーン!!）

「ウェーン!!」

この時、ゆらさんがゆきさんの顔を平手打ちでたたいたのでゆきさんが泣き出した。

いとは、怒った声でゆらさんに言うた。

「ゆら!!なんでゆきを叩《しわ》くのよ!?」
「ゆきが物乞いしたから叩《しわ》いた!!」
「ゆら!!」
「ゆきは、見ているだけでもはぐいたらしいのよ!!」

この時、大番頭《おおばんと》はんは財布から１万円札を出して男子大学生に渡そうとした。

「あの…お詫び料だけでも受け取ってください…この通りでおます〜」

男子大学生は、ものすごく困った声で大番頭《おおばんと》はんに言うた。

「おカネで解決されるのはイヤなのです!!」
「そないに言わんとこの通りでおます!!」

大番頭《おおばんと》はんと男子大学生が押し合いへし合いをつづけていたので、ゆりさんたち５人のきょうだいは『こんな気持ちでごはん食べれん!!』と言うたあとさじを投げたあと店の外へ出た。

ゆらさんも『こんな気持ちでめしが喰えるか!!』と言うたあと店から出ていった。

この一件が原因で、大番頭《おおばんと》はんの家は家族でお出かけすることをやめた。

ゆきさんは、このあともわがままこねホーダイをつづけて生きた。

それから27〜28年後に、ゆきさん自身が凶悪事件に巻き込まれた。