乳房星（たらちねぼし）−１・０

【ダブルブッキング】

（ゴーッ…）

時は、夕方５時頃であった。

マァマとリリアンとオリビアさんとイサベルさんとサーシャさんの四女さんとゆなさんとドリスさんが乗り込んだ専用機が那覇空港から飛び立った。

専用機は、九州沖の東シナ海を通ってソウルインチョン国際空港へ向かった。

夕方６時頃に専用機がソウルインチョン国際空港に到着した。

マァマとリリアンとオリビアさんとイサベルさんとサーシャさんの四女さんとゆなさんとドリスさんは、専用機から降りたあとターミナルビル内にあるトランジットホテルに入った。

チェックインしたあとは、身体を休める予定である。

またところ変わって、かねひで喜瀬カントリークラブのクラブハウスの前にて…

一行は、クラブハウスの入口付近でもと四国中央市の市長さんだった榎原《えばら》たつみ氏のご夫婦とお会いした。

榎原氏《もとしちょう》は、先方さまの大学時代から50年来の旧友《ゆうじん》であった。

先方さまは、ごきげんな声で榎原氏《もとしちょう》に声をかけた。

「これはこれは、榎原市長《しちょう》さんではございませんか〜」
「ああ、（先方）さま…みなさまもご一緒にゴルフにお越しになられていたのですね。」
「ええ。」
「ちょうどよかった…みなさまご一緒に、ピルスナーをのみませんか？」
「いいですね～」

ところ変わって、クラブハウスの中にて…

「カンパ～イ〜」

一行は、オリオンビールのピルスナーで乾杯した。

テーブルの上には、やんばる南部産の島野菜を使った郷土料理の詰め合わせがたくさん並んでいた。

このあと、先方さまと榎原市長《もとしちょう》がざっくばらんに会話をかわした。

そんな中であった。

榎原市長《もとしちょう》が福也《さちや》さんに声をかけた。

「えーと、きょうのゴルフでキャディーを勤めていたよね…お名前は？」
「内之倉福也《うちのくらさちや》です。」
「ほぉ～、親からええ名前をもろたね。」
「はい。」

このあと、榎原市長《もとしちょう》は、福也《さちや》さんにとっぴょうしもないことをたずねた。

「福也《さちや》さん。」
「はい、なんでしょうか？」
「福也《さちや》さんは、好きな子はいるのかな？」
「えっ？」

好きな子はいるのかなって…

なんで急にそんなことをたずねるのかな…

福也《さちや》さんは、ひどくコンワクした。

榎原市長《もとしちょう》は、ニコニコ顔で福也《さちや》さんに言うた。

「もし、近くに好きな子がいなかったら…いかがですか？」

となりにいた奥様が榎原市長《もとしちょう》を止めた。

「あんた!!」
「なんやねん～」
「あんた、こななところでいらんこと言われん!!」
「言ってないよ～」

奥様は、ものすごく困った表情でわびた。

「すんまへん…主人はお酒が入るととっぴょうしもないことを言うクセがあるのです〜」

榎原市長《もとしちょう》はものすごく怒った声で言うた。

「わしはまじめにいよんじゃ!!福也《さちや》さんはまだ若いのに好きな子がいてへんのはかわいそうだから、わしの近くにいる女性《ひと》を紹介しましょうかと言うただけだ!!」
「あなた!!やめて!!…すみませんでした〜」

奥さまは、ペコペコと頭をさげながらわたしたちにわびた。

榎原市長《もとしちょう》が酔った勢いでいらないことをペラペラしゃべったことが原因で場の雰囲気がしらけた。

一行は、夕方６時半頃にクラブハウスから引き上げた。