乳房星（たらちねぼし）−１・０

【雨の物語】

（ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ…ザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザーザー…）

時は、日本時間９月４日の午後１時半頃であった。

この時、雷を伴った激しい雨が降り出した。

またところ変わって、今治新都市《しんとし》のイオンモールの中にあるスタバにて…

奈保子《なおこ》は、ロッカールームで着替えをしたあと足早に店から出た。

その後、バスを乗り継いでゆきさんが入院している済生会病院へ向かった。

済生会病院には、午後３時頃に到着した。

（ドザー!!ドザー!!ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロ!!）

時は、午後３時過ぎであった。

この時、１時間に50ミリにそうとうする雷を伴った非常に激しい雨が降り出した。

またところ変わって、ゆきさんが入院している個室病棟《びょうしつ》にて…

びょうしつには、ゆきさんと哲人《てつと》がいた。

哲人《てつと》は、新しくいけたお花が入っている花びんをテーブルの上に置いたあとゆきさんに声をかけた。

「かあさん。」
「何よぉ〜」
「かあさんは、どないすんねん？」
「どないすんねんって…手術はうけへんと言うたでしょ…」

ゆきさんがひねた声で言うたので、哲人《てつと》さんは怒った声で『かあさん!!いいかげんにしろよ!!』と言うた。

「ゴホゴホゴホゴホゴホゴホゴホゴホゴホゴホ…」

この時、ゆきさんがひどいせきを起こした。

「かあさん!!かあさん!!」

哲人《てつと》は、ゆきさんの肩を抱きながら声をかけた。

ゆきさんは、苦しい表情で哲人《てつと》に言うた。

「哲人《てつと》…洗面器を取って…」

哲人《てつと》は、テーブルの上に置かれていた白い洗面器を手にしたあとゆきさんに渡した。

その直後であった。

「グハッ!!」

ゆきさんが口から大量の血を吐いた。

（ドバドバ…）

洗面器が真っ赤な血液に染まった。

大変だ…

（ピンポーン〜）

哲人《てつと》は、大急ぎでナースコールのボタンを押した。

この時、奈保子《なおこ》が病室に到着した。

奈保子《なおこ》は、おどろいた表情でゆきさんのもとへ行った。

「義母《おかあ》さま!!」
「かあさん!!」

哲人《てつと》と奈保子《なおこ》は、医師が到着するまでの間ゆきさんを呼びつづけた。