乳房星(たらちねぼし)−1・0

【くちびるからサスペンス】

時は、1月29日の午後3時頃であった。

この時、私はドナ姐《ねえ》はんと一緒に渡米したので日本《このくに》にはいなかった。

この話は、放浪中のママが主人公である。

(テーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテーテー…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…キーッ、プシュー…)

またところ変わって、ことでん片原町駅のすぐ近くの商店街にある純喫茶店にて…

今治市中心部から逃れたママは、道後温泉街にあるドナ姐《ねえ》はんの置屋で働いていた元の奴《やっこ》さんと会って話をしていた。

ママは、元の奴《やっこ》さんに対して私を探していると伝えた。

奴《やっこ》さんは、ママに対して私が置屋を訪ねてきたことを伝えた。

「ああ、よーくんね…うちの置屋に来たわよ。」
「来たって…それはいつ頃?」
「さあ、そこまではおぼえてないけど…」
「困ったわ…どうしよう…」
「姐《ねえ》はんとも連絡が取れないのよ。」
「困ったわ…」
「おやくに立てなくてごめんなさい…」
「いいの…自分の力でよーくんを探す…」

ママは、ものすごくつらい表情でつぶやいたあとのみかけのおひやをゴクゴクとのみほした。

(ボーッ、ボーッ、ボーッ…ピーッ、ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…ゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトンゴトン…)

時は、夕方6時過ぎであった。

ママは、国鉄宇高連絡船に乗って再び旅に出た。

連絡船から降りたあと、国電宇野駅から宇野線と山陽本線の電車を乗り継いで西へ向かった。

ママは、2月1日から長崎・熊本・鹿児島・宮崎・大分・山口・高知…の各地を回って私を探し回った。

ママは、私がカラオケ流しをしながらママを探していたことを佐賀市内で暮らした元の奴《やっこ》さんから聞いたのであちらこちらを回って私を探した。

しかし、私を見つけることはできなかった。

よーくん…

よーくん…

よーくん、どこにいるのよ?

よーくん…

よーくん…

ママは、泣きそうな表情で私を呼んだ。

それからママは、6ヶ月に渡って私を探し回ったが私を見つけることはできなかった。

時の経過と共に、ママの気持ちがひどくあせりだした。

時は流れて、8月19日頃であった。

ママは、深刻なトラブルに巻き込まれた。

たしか、8月19日の夜遅くだったと思う。

ところ変わって、松山市二番町にあるスナックにて…

ママは、むかしお世話になったおかみに会うためにここに来た。

この時、ママは深刻なトラブルに巻き込まれた。

ママは、この店の売れっ子ホステスからからまれた。

女《ホステス》は、ものすごい血相でママに殴りかかった。

「きょうこさん!!」
「なによあんた!!」
「よくもママ名義の通帳と印鑑《ハンコ》を盗んだわね!!」
「ちょっと待ってよ!!わかるように説明してよ!!」
「あの通帳は、ママのオニイが犯したあやまちをつぐなうために使うカネが入っているのよ!!」

ママはこの時、おかみ名義の第一勧業銀行の預金通帳に入っているジャンボ宝くじの一等前後賞の合計金額は、おかみのたったひとりの家族を助けるために使うお金であったことを知ったので顔が真っ青になった。

おかみのオニイは、8月12日に東京郊外の住宅地で立てこもり事件を起こした。

おかみのオニイは、ケーサツに対して『1億円と車を用意して誰でもいいから女連れてこい!!』と要求した。

ケーサツは、要求を受け入れる形で現金1億円と車を用意した。

そして、キンリンで暮らしている20代後半の女性を連れ去ったあと逃走した。

おかみのオニイは、今も逃走中であった。

おかみは、オニイに連れ去られた女性の婚約者の男性の親御《おや》から『セガレは(女性)さんが大好きだったのよ!!どうしてくれるのよ!?』と凄まれた。

おかみは、オニイに連れ去られた女性の婚約者から慰謝料1億円を8月20日までに払えと言われた。

おかみは、明日(20日)預金通帳を持って東京へ行く予定だった。

この時、預金通帳がなくなったことを聞いたのでおかみはひどく怒り狂っていた。

女《ホステス》は、ものすごい血相でママを怒鳴りつけた。

「きょうこさん!!」
「なによぅ〜」
「ハクジョーしなさいよ!!」
「あたしは知らないわよ!!」
「否定してもだめよ!!」
「アタシが通帳を盗んだ証拠がどこにあるのよ!?」
「ふざけるな!!あのお金は、オニイに婚約者を連れ去られた御子息に払う慰謝料よ!!他にもオニイは悪いことをたくさんしたのよ!!出入りしていた事務所《くみ》の組長《おやぶん》の情婦《レコ》を手ごめにしたあと殺した…近所の人妻によこれんぼしたあげくにダンナとお子さまふたりをオニイが殺したのよ…他にもママのオニイは女がらみのもめ事をたくさん犯したのよ!!損害賠償が払えなくなったら…あんたのせいでこの店がなくなったら…その時はより高い代償《コースト》を払ってもらうから覚悟しなさいよ!!」

なんなのよ一体…

ものすごく怒り狂ったママは、近くに置いていた果物ナイフで女《ホステス》を斬《き》りつけた。

「ふざけるな!!」
「イヤアアアアア!!」

ものすごく怒り狂ったママは、果物ナイフで女《ホステス》をズタズタに斬《き》りつけて殺したあと女《ホステス》が使っていたロッカーの中から高価な品物と現金500万円を盗んだ。

その後、ママは現場から逃走した。

それからまた数日後であった。

ところ変わって、松山市米野町の山林にて…

山林に愛媛県警の捜査員たち300人がいた。

捜査員たちは、あやしいと思われる場所でシャベルを使って土をほっていた。

この時であった。

土の中から女《ホステス》が血まみれの遺体で発見された。

「課長!!」
「どうした!?」
「遺体が発見されました!!」
「なんだと!!」

このあと、捜査員たちの手によって女《ホステス》の遺体を引き上げた。

それからまた数日後であった。

愛媛県警は、死体遺棄の容疑で同僚の女《ホステス》・ウクダカナコを全国に特別手配した。

強盗殺人については、ウクダカナコが事情を知ってるので逮捕後に聴取する…で決定した。

女《ホステス》を殺したママは、松山から逃げ出したあと長崎・熊本・鹿児島・宮崎・大分・山口の各地を逃げ回った。

ウクダカナコがママと女《ホステス》がもめている現場を見ていた…

それを知ったママは、私を見つけることをやめてウクダカナコを探すことにした。

ウクダカナコがサツにしょっぴかれる前に…

なんとかしなきゃ…
< 18 / 240 >

この作品をシェア

pagetop