乳房星(たらちねぼし)−1・0
【想い出迷子】
時は、1994年10月9日の夜10時過ぎであった。
城崎温泉街《おんせんがい》の通りに街灯《あかり》と旅館の窓灯りが灯っていた。
この時間、通りはカンサンとしていた。
通りのスピーカーからチョー・ヨンピルさんの歌で『想い出迷子』が流れていた。
私は、温泉街《おんせんがい》にある旅館に宿泊していた。
ところ変わって、私が宿泊している旅館の部屋にて…
テーブルの上には、アツカンが入っている白のトクリとおちょことさかなのおつくり(おさしみ)が置かれていた。
私は、テレビを見ながらお酒をのんでいた。
部屋に置かれている古びた形のナショナルクイントリックス(カラーテレビ・ロータリーのガチャガチャチャンネル)のブラウン管にテレビ大阪が映っていた。
この時間は『演歌の花道』が放送されていた。
画面に堀内孝雄さんが『想い出迷子』を歌っている場面が映っていた。
この日の放送に出演していた歌手は、堀内孝雄さんと香西かおりさんだった。
『恋唄綴り』『流恋草《はぐれそう》』『想い出迷子』(堀内孝雄さんがカバーで歌った)『人形《おもちゃ》』『酒と泪と男と女』(堀内孝雄さんがカバーで歌った)『人形の家』(香西かおりさんがカバーで歌った)…
号泣ソングばかりが流れたので、大泣きした。
テレビを見ている私は、大泣きしながらアツカンをのんだ。
日付けが変わって、10月10日の深夜1時頃だった。
部屋は真っ暗であった。
(パチ…)
私は、となりの部屋にいる男の声でめざめた。
「おう竹宮…よく来たな。」
「へえ、総裁《おやっさん》。」
あの声はたしか…
長州組の総裁《ボス》…
二岡だ…
なっ…
なんで溝端屋の番頭《ばんと》がここにいるのだ…
私は、キョウフのあまりに声が出そうになった。
しかし、必死になってこらえた。
他に部屋にいるのは誰や…
溝端屋のダンナと田嶋組長《くみちょう》と小林と山岡がいると思う…
やばい…
もしかしたら…
私の居場所が知られたかもしれない…
どうしよう…
私は、ひどく動揺した。
私は、枕もとに置いてた懐中電灯をつけたあとゆっくりと壁に耳を近づけた。
この時、二岡総裁《におか》は不気味な声で番頭《ばんと》はんに言うた。
「竹宮。」
「へえ。」
「ジョウネンジの御曹司《クソガキ》はどないなった?」
「へえ、大和川《かわ》の河口にドラム缶ごと沈めやした。」
「そうか…よくやった~」
「へえおおきに〜」
「これでジョウネンジの家も終わりだな〜」
「へえ。」
田嶋組長《くみちょう》は、不気味な声で番頭《ばんと》はんに言うた。
「おい竹宮。」
「へえ。」
「陸自少年工科学校《りくじのダンシコー》にいた御曹司《クソガキ》どもはあと何人残っている?」
「あと、9人でおます。」
「9人か…」
「残った9人も、ガッコーと寮のキヤクを守らずに自由と権利ばかり主張した…幹部自衛官《クソセンコー》どもは、御曹司《クソガキ》どもの居場所がなくなったら困ると言うて置きつづけた…」
「その9人は、どうなったのだ?」
「9人のうち、3人はそのまま卒業しました…しかし、自衛官はクビになりやした…6人は、脱走したあげくにサツにパクられました。」
「卒業した3人は?」
「3人は、家からカンドーされているので帰る家はありません…うち2人は、14年前に発生した強盗殺人事件を起こしたあと、サツにパクられました…先月…2人は留置所で首を吊りやした。」
「そうか…もうひとりは?」
「マンネンインですね…あのヤローは、20年前に名古屋で発生したカップルさんの襲撃事件の実行犯のひとりでした…実行犯の中でゆいつ逮捕されていない男です…その男は…どこかでぬくぬくと暮らしていると思いますよ。」
「よし分かった…竹宮…マンネンインをさがせ…見つけ次第、コンクリ詰めだ!!」
「へえ、わかりやした。」
このあと、二岡たちヤクザ連中と番頭《ばんと》はんと溝端屋のダンナは、2〜3時間に渡って話し合いをした。
こわくなった私は、ふとんに入ったあと震えまくった。
明け方5時頃であった。
私は、やつらが寝ている間に出発準備を整えた。
それから80分後に、私は旅館から出発した。
やつらが寝ている間に…
早く逃げなきゃ…
城崎温泉街《おんせんがい》の通りに街灯《あかり》と旅館の窓灯りが灯っていた。
この時間、通りはカンサンとしていた。
通りのスピーカーからチョー・ヨンピルさんの歌で『想い出迷子』が流れていた。
私は、温泉街《おんせんがい》にある旅館に宿泊していた。
ところ変わって、私が宿泊している旅館の部屋にて…
テーブルの上には、アツカンが入っている白のトクリとおちょことさかなのおつくり(おさしみ)が置かれていた。
私は、テレビを見ながらお酒をのんでいた。
部屋に置かれている古びた形のナショナルクイントリックス(カラーテレビ・ロータリーのガチャガチャチャンネル)のブラウン管にテレビ大阪が映っていた。
この時間は『演歌の花道』が放送されていた。
画面に堀内孝雄さんが『想い出迷子』を歌っている場面が映っていた。
この日の放送に出演していた歌手は、堀内孝雄さんと香西かおりさんだった。
『恋唄綴り』『流恋草《はぐれそう》』『想い出迷子』(堀内孝雄さんがカバーで歌った)『人形《おもちゃ》』『酒と泪と男と女』(堀内孝雄さんがカバーで歌った)『人形の家』(香西かおりさんがカバーで歌った)…
号泣ソングばかりが流れたので、大泣きした。
テレビを見ている私は、大泣きしながらアツカンをのんだ。
日付けが変わって、10月10日の深夜1時頃だった。
部屋は真っ暗であった。
(パチ…)
私は、となりの部屋にいる男の声でめざめた。
「おう竹宮…よく来たな。」
「へえ、総裁《おやっさん》。」
あの声はたしか…
長州組の総裁《ボス》…
二岡だ…
なっ…
なんで溝端屋の番頭《ばんと》がここにいるのだ…
私は、キョウフのあまりに声が出そうになった。
しかし、必死になってこらえた。
他に部屋にいるのは誰や…
溝端屋のダンナと田嶋組長《くみちょう》と小林と山岡がいると思う…
やばい…
もしかしたら…
私の居場所が知られたかもしれない…
どうしよう…
私は、ひどく動揺した。
私は、枕もとに置いてた懐中電灯をつけたあとゆっくりと壁に耳を近づけた。
この時、二岡総裁《におか》は不気味な声で番頭《ばんと》はんに言うた。
「竹宮。」
「へえ。」
「ジョウネンジの御曹司《クソガキ》はどないなった?」
「へえ、大和川《かわ》の河口にドラム缶ごと沈めやした。」
「そうか…よくやった~」
「へえおおきに〜」
「これでジョウネンジの家も終わりだな〜」
「へえ。」
田嶋組長《くみちょう》は、不気味な声で番頭《ばんと》はんに言うた。
「おい竹宮。」
「へえ。」
「陸自少年工科学校《りくじのダンシコー》にいた御曹司《クソガキ》どもはあと何人残っている?」
「あと、9人でおます。」
「9人か…」
「残った9人も、ガッコーと寮のキヤクを守らずに自由と権利ばかり主張した…幹部自衛官《クソセンコー》どもは、御曹司《クソガキ》どもの居場所がなくなったら困ると言うて置きつづけた…」
「その9人は、どうなったのだ?」
「9人のうち、3人はそのまま卒業しました…しかし、自衛官はクビになりやした…6人は、脱走したあげくにサツにパクられました。」
「卒業した3人は?」
「3人は、家からカンドーされているので帰る家はありません…うち2人は、14年前に発生した強盗殺人事件を起こしたあと、サツにパクられました…先月…2人は留置所で首を吊りやした。」
「そうか…もうひとりは?」
「マンネンインですね…あのヤローは、20年前に名古屋で発生したカップルさんの襲撃事件の実行犯のひとりでした…実行犯の中でゆいつ逮捕されていない男です…その男は…どこかでぬくぬくと暮らしていると思いますよ。」
「よし分かった…竹宮…マンネンインをさがせ…見つけ次第、コンクリ詰めだ!!」
「へえ、わかりやした。」
このあと、二岡たちヤクザ連中と番頭《ばんと》はんと溝端屋のダンナは、2〜3時間に渡って話し合いをした。
こわくなった私は、ふとんに入ったあと震えまくった。
明け方5時頃であった。
私は、やつらが寝ている間に出発準備を整えた。
それから80分後に、私は旅館から出発した。
やつらが寝ている間に…
早く逃げなきゃ…