乳房星(たらちねぼし)−1・0

【わがまま】

時は、12月9日の朝7時過ぎであった。

またところ変わって、特大広間にて…

テーブルにいとと遥輝《はるき》と桃子《ももこ》と幸《みゆき》と奈保子《なおこ》の5人がいた。

テーブルの上には、奈保子《なおこ》が作った朝ごはんが並んでいた。

そんな中であったが、幸《みゆき》が桃子《ももこ》に声をかけた。

「おかーさん。」
「なによぅ〜」
「話があるけど…」
「それなら、おかーさんの話を聞いてくれる?」
「またおかーさんの話〜」
「幸《みゆき》、幸《みゆき》はいつになったらコーコーに行くのよ?」
「だからなんでうちにコーコーコーコー…というのよ!?」
「おかーさんは、幸《みゆき》にコーコーに行ってほしいとたのんでいるのよ〜」
「だからなんでコーコーに行くのよ!?」
「楽しい時間を過ごすために行くのよ!!…幸《みゆき》は、同い年の子たちがコーコーへ行ってるのを見てなんとも思わないの!?」
「思わないわよ!!」
「幸《みゆき》!!おかーさんとおとーさんは幸《みゆき》がコーコーで楽しんでいる姿を見たいのよ…幸《みゆき》がブラスバンドを演奏している姿を見たいのよ…」
「おとーさんとおかーさんの楽しみはその程度しかないのね!!」

この時であった。

ダサい色のジャージ姿のゆらさんがひどく酔った状態で特大広間にやって来た。

ゆらさんの右手には清酒大関の大きめのワンカップビンを持っていた。

ゆらさんは、ものすごく怒った声で怒鳴りつけた。

「やかましいわね朝からもう!!」

桃子《ももこ》は、おどろいた声で言うた。

「ゆら義姉《ねえ》さま!!どうなされたのですか!?」
「やかましいわね湯上谷《ゆがみだに》の世間知らずの嬢《おじょう》!!」

いとは、ものすごくおたついた声でゆらさんに言うた。

「ゆら!!朝からガーガーおらばないでよ!!」
「おかーちゃん!!湯上谷《ゆがみだに》の嬢《せけんしらず》がうちにいちゃもんつけたのよ!!」
「うちはいちゃもんつけていません!!」
「ますますはぐいたらしいわね!!娘がブラスバンドを演奏している姿が見たいだって…それはどう言う意味よ!!」
「ゆら義姉《ねえ》さん!!アタシと主人の思いはアタシの父の願いなのです!!施設《しせつ》で暮らしている父は、幸《みゆき》がいるコーコーのブラスバンド部がイモンに来る日を楽しみにしているのです…父は幸《みゆき》がいるコーコーのブラスバンド部が演奏するナツメロを聴くのが…」
「あんたのテテオヤはしょぼいわね!!」
「ゆら義姉《ねえ》さん!!父は家が貧しかったのでガッコーに行くことができなかったのです…」
「やかましい!!あんたのテテオヤはなまけものだからガッコーに行かなかったのでしょ!!」
「それは言いすぎです!!」
「ますますはぐいたらしいわね!!」

この時であった。

内之倉の家の家族4人が家にやって来た。

一恵《かずえ》は、奈保子《なおこ》に対して『真弥《しんや》のお弁当は?』とたずねた。

奈保子《なおこ》は、お向かいの家のマゴちゃんのお弁当を作ったから食材がなくなったと答えた。

一恵《かずえ》は、ものすごく怒った声で『あんたはなに考えているのよ!!』と言うた。

奈保子《なおこ》は『ごめんなさい!!』と一恵《かずえ》に言うた。

この時、お向かいの家の奥さまがマゴちゃんを連れて家に来た。

思い切りブチ切れたゆらさんは、お向かいの家の奥さまを両手で突き飛ばした。

(ドカ!!)

「エーンエーンエーンエーンエーンエーンエーンエーンエーンエーン…おばーちゃんが突き飛ばされた…エーンエーンエーンエーンエーンエーン…」

マゴちゃんが『エーンエーン』と泣き出した。

突き飛ばされた奥さまは、起き上がったあとゆらさんに対して『なにすんのよ!!』と怒った声で言うた。

ゆらさんは、ものすごく怒った声で奥さまに言うた。

「どついたろかクソババァ!!」
「なんなのよあんたは!!」
「やかましい!!君波《うち》にいちゃもんつけたからぶっ殺してやる!!」

このあと、ゆらさんとお向かいの家の奥さまがドカバキの大ゲンカを始めた。

「ゆらさん!!やめてください!!」
「ゆら義姉《ねえ》さん!!」
「ゆら姉さん!!やめろよ!!」
「ふたりとも落ち着いてください!!」

日菜《ひな》と桃子《ももこ》と遥輝《はるき》と和利《かずとし》の4人は、ゆらさんとお向かいの家の奥さまを止めに入った。

しかし、ゆらさんとお向かいの家の奥さまの耳に4人の声は届いていなかった。

「なんやねんあんたは!!」
「やかましい!!嫁いびりばかりしていたことが原因であの子にママがいなくなったのよ!!」
「やめてください!!」
「おだやかに話し合いをしてください!!」

(ドーン!!バーン!!)

この時、近くにいた章弘《あきひろ》がじゅらくのカベに背中をぶつけた。

章弘《あきひろ》は、大急ぎで止めに入った。

「ちょっとやめてくださいよ!!」
「おだやかに話し合いをしてください!!」
「おだやかに話し合いなんかできないわよ!!」
「その原因を作ったのはババァにあるのよ!!」
「落ち着いてください!!」
「やかましい!!」
「あわわわわわわわ!!」

(ドスーン!!バキバキ!!ガシャーン!!)

この時、章弘《あきひろ》が飛ばされたはずみで仏壇にぶつかった。

そのはずみで、カベが倒れたと同時に仏壇が大破した。

(バーン!!バキバキバキバキ!!バターン!!」

遥輝《はるき》と和利《かずとし》は、飛ばされたはずみでじゅらくのカベに背中をぶつけた。

同時に、落下した天井板で顔面をぶつけた。

遥輝《はるき》と和利《かずとし》の顔は、ボロボロに傷ついた。

「ふざけるなクソババァ!!」
「ギャアアアアアアアアアアア!!」

(ガシャーン!!バキバキ!!)

お向かいの奥さまは、ゆらさんに投げ飛ばされたはずみで縁側の戸に直撃した。

その後、庭に落ちた。

(バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!)

止めに入った桃子《ももこ》と日菜《ひな》が頭から障子《しょうじ》にダイブした。

障子《しょうじ》は、こなごなに大破した。

ゆらさんとお向かいの家の奥さまのドカバキの大ゲンカは、台所で繰り広げられた。

ゆらさんとお向かいの家の奥さまは、台所にあった食材を投げつけあった。

「ふざけるな!!」
「やかましい!!嫁いびりババァ!!」

そこへ、幼稚園バスの運転手のおっちゃんがやって来た。

(ドカドカドカドカ!!)

「いたいいたいいたいいたいいたいいたいいたいいたい!!」

ゆらさんとお向かいの家の奥さまが投げつけた食材は、運転手のおっちゃんに次々と直撃した。

運転手のおっちゃんは、ふたりの大ゲンカを止めに入った。

この時、お向かいの家の奥さまが大きなケーキを手にしたあとゆらさんに投げつけようとした。

「ふざけるな!!やっつけてやる!!」
「やめてください!!」

(ベト!!)

お向かいの家の奥さまが投げつけた大きなケーキが運転手のおっちゃんに直撃した。

「やかましい!!嫁いびりババァ!!」
「やめてください!!」

(ベト!!)

ゆらさんが投げつけた大きなケーキが運転手のおっちゃんに直撃した。

「のきなさいよ!!」
「わあああああああ!!」

運転手のおっちゃんは、ゆらさんに突き飛ばされた。

この時、幼稚園の女の先生ふたりが家に入った。

「ギャアアアアアアア!!」

(ドスーン!!ベチョベチョベチョ!!)

運転手のおっちゃんは、女の先生ふたりにぶつかった。

女の先生ふたりは、ぶつかったはずみで倒れたと同時にケーキまみれになった。

再び、ゆらさんとお向かいの家の奥さまが取っ組み合いの大ゲンカを始めた。

この時、章弘《あきひろ》と一恵《かずえ》と和利《かずとし》と日菜《ひな》と桃子《ももこ》と遥輝《はるき》が止めに入った。

同時に運転手のおっちゃんと女の先生ふたりも止めに入った。

「やめてください!!」
「おだやかに話し合いをしてください!!」

つづいて、奈保子《なおこ》も止めに入った。

「ゆらさん!!奥さま!!やめてください!!」
「おだやかに話し合いなんかできん!!」
「あああ!!」

(ドスーン!!ガシャーン!!)

この時、和利《かずとし》が流しのフチに背中をぶつけた。

そのはずみで、戸棚に置かれていた金物類が転落した。

(バーン!!)

つづいて、棚に置かれていた金ダライが和利《かずとし》の頭を直撃した。

その後…

(バターン!!ガシャーン!!)

勝手口のドアが重みで大破した。

ゆらさんとお向かいの奥さまのドカバキの大ゲンカは、庭先で繰り広げられた。

「なんでうちに言いがかりをつけたのよ!!」
「やかましいドアホ!!嫁いびりババァ!!」
「やめてください!!」
「落ち着いてください!!」
「ふざけるな!!」
「あわわわわわわわ!!」

(バキバキバキバキバキバキ!!ボトン!!)

運転手のおっちゃんが庭にあるダイキの浄化槽のフタをこわしたあとコエダメに転落した。

そこへ、和利《かずとし》がふらついた足取りでやって来た。

コエダメに転落したおっちゃんがなんとか上がりつく事ができた。

しかし…

「わあああああああ!!」

(ズボッ!!ボトン!!)

この時、和利《かずとし》がゆらさんとお向かいの家の奥さまに突き飛ばされたはずみで浄化槽のもう片方のフタが尻もちで大破したあとおしりがはまってしまった。

「助けてくれ〜」

また同時に、運転手のおっちゃんがまたコエダメに転落した。

「やめてください!!やめてください!!」
「ギャアアアアアアアアアアア!!」

(ドスーン!!ガシャーン!!プシュー!!)

この時、ゆらさんとお向かいの家の奥さまに突き飛ばされた女の先生ふたりが消火器にぶつかった。

そのはずみで、消火器から吹き出た白い粉にまみれてしまった。

「あああああああああああ!!」

(ガシャーン!!バリバリバリバリバリバリ!!)

ゆらさんとお向かいの家の奥さまに突き飛ばされた章弘《あきひろ》と一恵《かずえ》は、庭にあった盆栽棚に直撃した。

盆栽棚は、こなごなに大破した。

ドカバキの大ゲンカは、池の前で繰り広げられた。

「ふざけるな!!」
「やめてください!!」
「嫁いびりババァは、池に沈めてやる!!」
「なにすんのよ!!」
「やめて〜」

(ドボーン!!)

お向かいの家の奥さまと日菜《ひな》と桃子《ももこ》と奈保子《なおこ》は、ゆらさんに突き飛ばされたはずみで池に転落した。

「ゆら姉さんやめろよ!!」
「離せ!!」

この時、遥輝《はるき》がゆらさんを止めに入った。

「あんたもはぐいたらしいから池に落としてやる!!」
「ゆら姉さんやめてくれ!!」

(ドボーン!!)

ゆらさんは、遥輝《はるき》を道連れにして池に飛び込んだ。

「ふざけるな!!」
「嫁いびりババァはぶっ殺してやる!!」
「やめてください!!」

ドカバキの大ゲンカは、このあと夜10時頃までつづいた。

その中であった。

幸《みゆき》が浴室で右腕から大量の血を流した状態で息絶えた…

幸《みゆき》は、付き合っていたカレシからレイプされて妊娠していた。

カノジョは、そのことを桃子《ももこ》に伝えようとしたが伝えることができなかった。

あと10日で5ヶ月目になる…

それまでになんとかしたかったが、時すでに遅しでアウトになった。

それなのに、ゆらさんとお向かいの家の奥さまはドカバキの大ゲンカを繰り広げたのでもうアカンのぉ〜
< 78 / 240 >

この作品をシェア

pagetop