熱愛発覚中
　＊　＊　＊

自分がどんな顔で牛島さんの隣りにいて、どんな顔で次から次へと紹介される人たちにあいさつをしているのかわからなかった。

仕事が仕事だから接客することは多いはずなのに、今の私の状態は間違いなく失格になってしまうだろう。

「ーー莉理、大丈夫か？」

牛島さんに声をかけられて、私は我に返った。

「えっ、何が…？」

そう聞き返した私に牛島さんは息を吐いた。

何か粗相をしてしまったのかと思ったが、自分がどんな顔でどんな風に接していたのかなんてわかる訳がない。

振り返ってみても、自分が何をしていたのか全く思い出せない。

「後は俺が何とかするから莉理はもう休んでくれ。

部屋はとってあるから、そこでゆっくりと休んでくれ。

体調を崩したと、周りにはそう説明しておくから」

牛島さんはスーツの胸ポケットからカードキーを取り出すと、それを私に渡してきた。

「…ありがとうございます」

私はお礼を言ってカードキーを受け取った。
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