熱愛発覚中
「赤ちゃんの姿はまだ見えないけれど、妊娠していますね」

「これが…」

改めて妊娠していると言う事実を知らされたら、私のお腹の中にいる小さな命を見せられたら…カップ焼きそばで満たされたはずの心がまた揺れていることに気づいた。

好きな人との間にできたこの命を殺すことなんてできない…。

一夜だけだったとは言え、彼との間に生まれた愛の結晶を手放すことなんてできない…。

「ーーあの…」

私は唇を動かして音を発すると、
「主人に、このことを報告したいので…少し、考える時間をもらってもいいですかね…?」
と、先生に向かって言った。

何を言ってるんだ、この人は…と思っただろう。

「ええ、どうぞ」

そんなことを思っていても決して顔に出さない先生は大人だなと、私はそんなことを思った。
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