熱愛発覚中
産婦人科医院を出たけれど、兄との約束の時間はまだあった。

でも家に戻りたいと言う気分でもなかったので、時間はかなり早いけれど待ち合わせ場所へと向かうことにした。

本屋に入ると、何となく目についた文庫本を手にとって購入した。

その足でカフェに入ると、オレンジジュースを頼んで空いていた席に腰を下ろした。

兄との待ち合わせの時間がくるまで、ここで過ごそうかな…。

買ってきた文庫本を開いたのはいいけれど、本の内容は頭に入らなかった。

ただ目についただけと言う理由で本を選ぶのはよくないな、この本を書いてくれた作家さんに失礼だなと、そんな訳がわからないことを思った。

それでも、私は約束の時間がくるまでページに書いてある文字をただひたすらに読み続けた。
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