熱愛発覚中
「出汁が煮えたら野菜を沈めて、肉が白くなってきたら食べ頃です」

「はい、わかりました」

「何かわからないことがありましたらお呼びください。

それでは、ごゆっくり」

店員が私たちの前からいなくなったのを確認すると、
「莉理は、子供を堕ろしたくないと思っているんだな?」

出汁が煮えるのを待ちながら、兄は先ほどの話を確認するように聞いてきた。

「うん、好きな人との間にできた命だから…」

「なおさら、夫に話すべきだと思うんだけどな…」

わかってると、兄に向かって言い返したくなった。

「私を抱いたことについては、彼は何も言わないし…もしかしたら、触れられたくないんだと思う」

「だけど、このままだと何も進まないぞ?」

「うん…」

兄の言うことは事実なので、悔しいけれど言い返すことができなかった。
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