熱愛発覚中
ピーク時を過ぎた電車は人がそんなにいなかったので、すぐに座ることができた。

電車に揺られていたら、見なれた街並みが見えてきた。

結婚前に住んでいた街から今住んでいるこの街に帰ってきたんだな…と、私はそんなことを思った。

電車を降りて駅を出ると、
「莉理!」

牛島さんが出迎えてくれた。

「えっ…?」

私、迎えなんて頼んだ…訳ないか。

牛島さんの連絡が怖かったからスマートフォンの電源は産婦人科医院に到着した時には切っていた。

でも、家にいるだろうと思っていた彼がどうして駅にいて私を出迎えているのかわからなかった。

「今日1日、どこに行っていたんだよ!?」

私の顔を見た牛島さんはホッとしたような、怒っているような…どんな顔をしたらいいのかわからないようだった。
< 157 / 225 >

この作品をシェア

pagetop