熱愛発覚中
「契約だと割り切りたかった、期間限定の関係だと思いたかった。

1年が経ったら離婚するから…その程度の関係だったと、そう言い聞かせたかった。

実際、何度も何度も言い聞かせて…その度に気持ちを消そうとしたけれど、不毛なだけだった。

それどころか、自分が恋をしていることを思い知らされて…とにかく、苦しくて仕方がなかった」

「えっ…?」

牛島さんの口から出てきたその言葉に、私は思わず聞き返した。

今、“自分が恋をしていること…”とかどうとかこうとかって言わなかったか?

いや、私の聞き間違いか?

「酔った勢いだと言うことにして、それで嫌われようと試みたけれど…ダメだった。

あんたは何も言わないし、そのことに対して触れようともしてこないし、何も責めてこない。

思い切って聞いた方が手っ取り早いかと思ったけれど、それでもし嫌われたらと思ったら何もできなかった。

嫌われたいのに嫌われるのが怖いって、我ながら矛盾していると思うよ」

牛島さんは言った。
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