熱愛発覚中
何を言われたのかわからなかった。

今日はエイプリルフールだったのかと思ったし、ドッキリなのかと疑ったし、何より父親がそんなふざけたジョーダンを言うとも心の底から思えなかった。

「…父さん、何を言ってるんだ?」

もしかしてボケてきたのだろうか、検査をした方がいいのだろうかと思いながら蓮司は聞いた。

「昨日、担当医の先生から言われたんだ。

また新たな場所に転移していたみたいで、もう長くても1年だろうって」

もう生きることをあきらめているような、現実を受け入れたかのような父親に、蓮司は何も言えなかった。

「だから…生きている間に、蓮司のお嫁さんが見たいなと思ったんだ。

それに…僕が死んでしまったら、蓮司は1人になってしまうじゃないか」

「父さん…」

自分の命よりも我が子のことを考えて心配する父親に、蓮司は何を言えばいいのかわからなかった。
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