熱愛発覚中
「そんな考えは持っていないが…と言うか、この場合は愛とか恋とかそんなもんじゃないだろう。

俺は父親を安心させればそれでいいと思っているし、離婚したら慰謝料もちゃんと出すと言っている。

君の意見だってちゃんと聞く」

「そんなことは聞きましたし、言って欲しい訳じゃないんですよ」

私は息を吐くと、
「わかりました」
と、言った。

「えっ?」

聞き返してきた牛島さんに、
「あなたと結婚します」

私は宣言した。

「あなたが何者かを知って気が変わったとかそんなんじゃありません」

「それはさっき聞いた」

意外にも記憶力がいいな、おい。

地頭は悪くないと言うタイプの人間だろう。

そう思いながら、私は次の言葉を言うために唇を開いた。
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