熱愛発覚中
テーブルのうえに置かれたのは、契約書と婚姻届と離婚届だった。

「まずは契約書を読んで、同意したらサインを頼む。

何かわからないことや不満なことがあったら言ってくれ」

牛島さんに言われて私は契約書を手に取ると、それに目を通した。

結婚生活は1年間だけと言うこと、離婚した時の慰謝料として1000万円を払うこと、必要なこと以外はお互いに干渉しないことーーそれらの事項が書いてある契約書を全て読み終えると、ボールペンで自分の名前を書いた。

「はい」

牛島さんにサインしたばかりの契約書を渡すと、
「ありがとう」
と、彼はお礼を言って契約書を受け取ると封筒の中に入れた。

「次に婚姻届と離婚届にサインを」

牛島さんに言われて、私は婚姻届と離婚届に視線を落とした。

どちらも夫の欄のところに、すでに彼の名前が書かれてあった。

それらを確認すると、妻の欄のところに自分の名前を書いた。
< 34 / 225 >

この作品をシェア

pagetop