熱愛発覚中
「…それもそうか」

牛島さんは納得したのか、そんなことを呟いた。

「どうして手を繋ぎたいなんて思ったの？」

私は聞いた。

彼の性格的にそう言うのを嫌いそうな感じだし、結婚は愛とか恋とかでするものじゃないなんて平気で言うような人だから、そう言うベタなことを嫌がるんじゃないかなと思っていた。

「別に、何となく莉理と手を繋ぎたくなっただけだ」

そう答えた牛島さんに、
「何なのよ、その理由は」

私は言った。

理由が曖昧で、どんな返事をすればいいのかわからなかった。

「いい思い出にはなっただろ？」

そう言った牛島さんに、
「何かよくわからないけど、ずいぶんと思い出にこだわってるわね」
と、私は言い返した。

結婚パーティーはもちろん、それに着て行くためのドレスを選んでいた時も彼はどう言う訳なのか“思い出”と言うものにこだわっているような気がした。
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