熱愛発覚中
私が思い出を気にするような性格だと牛島さんに思われているからなのだろうか？

まあ、いい思い出だったら残しておきたいなとは思うけれど。

「どうせ１年なんだから、思い出をたくさん作って残しておきたいだろう。

お互いのためになっていいじゃないか」

「お互いのため？」

「少なくとも、お互いに嫌な思いをしたままで１年は過ごしたくないだろう」

牛島さんは言った。

「ああ、なるほど」

彼なりに考えての行動なのかと、私はそんなことを思った。

たった１年だけで、それも売り言葉に買い言葉の末での結婚だったのに、彼は心のどこかで気にしていたのかも知れない。

牛島さんは空をあおぐと、
「日が暮れてきたし、もう帰るぞ」
と、言った。

空を見ているその顔はとても美しくて絵になっている。

顔のいい男は何をさせてもよく似合っているようだ。
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