熱愛発覚中
「なあ、今日はどこかへ食べに行くか？」

心の中で鼓舞している私に気づいていないと言った様子で牛島さんが聞いてきた。

「うん、いいよ」

そう返事をした私に牛島さんは笑った。

「何か食べたいものがあるんだったら聞くけど」

「あー、そうだな…」

私は考えると、
「焼き鳥がいいな」
と、言った。

「焼き鳥か…」

牛島さんは私のまねをするように呟いた。

生まれながらの金持ちには縁がない食べ物なのかも知れない。

自分では簡単に作れないものだし、久しぶりに食べたいと思ったから言ってみたけれど、彼からしてみたら縁もゆかりもない食べ物だった。

「いいね、食べに行こうか」

「えっ、知ってるの？」

思わず言ってしまったら、
「失礼な、焼き鳥くらい知ってる」
と、牛島さんは不満そうだった。
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