熱愛発覚中
「ただいま」

牛島さんが病室へ戻ってきた。

「はい、新聞と…今日はほうじ茶にしたから」

牛島さんは売店で買ってきた新聞とペットボトルのほうじ茶をテーブルのうえに置いた。

「ありがとう、蓮司」

「いいってことよ」

お礼を言った父親に牛島さんは返事をした。

「父さんに莉理のことを紹介できたし、俺たちもこの辺で帰るとするか」

そう声をかけてきた牛島さんに、
「そ、そうだね…」

私は上手に返事をすることができただろうか?

「そうか…それじゃあ、次がくるのを楽しみに待っていることにするかね」

「うん、待っててくれよ」

息子が帰ることが名残惜しそうな父親に向かって、牛島さんは優しく笑いながら言った。

「じゃあ、またくるから」

「お邪魔しました」

「ああ、待ってるよ」

そう言って見送ってくれた彼に私たちは手を振ると、病室を後にした。
< 77 / 225 >

この作品をシェア

pagetop