熱愛発覚中
「いいお父さんだね」

そう言った私に、
「いい父親だと思ってるよ。

男手ひとつで俺を育ててくれて、自分の仕事で忙しいのに一緒に食事をとってくれたり、学校行事にも出てくれたりして、本当にいい父親だと思ってるよ」
と、牛島さんはどこか誇らしげに答えた。

「改めて聞くんだけど…」

「うん」

「…本当に、1年なんだよね?」

それを聞いたとたんに、私たちの間に沈黙が流れた。

先に沈黙を破ったのは、
「ーーああ、1年だよ」

牛島さんだった。

「余命は1年なんだ。

その1年間だけ、莉理は俺の妻になってくれればいいんだから」

「…そう」

そう言った牛島さんに対して、私は返事をすることしかできなかった。

自分がどんな顔で返事をしていたのかなんて、それが見える訳がないからわからない。
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