熱愛発覚中

「ちょっと待ちなさいよ！」

今のうちだと言うようにこの場から逃げようとしている吉行の肩を美世ちゃんはつかんだ。

「帰る前にお金を返してよ！

私と莉理先輩のお金を返してよ！」

「えっ、私！？」

「莉理先輩、悔しくないんですか！？」

いや、悔しいと言えば悔しいが…。

先ほどまでの彼女から一転、借金の取り立てになってしまった。

「返してよ！

私が去年のクリスマスプレゼントにあげた腕時計も返してよ！

あれ、少なくとも１５万くらいはしたんだからね！？」

「み、美世ちゃん、落ち着こう…ね、落ち着いて…」

吉行の両肩をつかんで返すように揺するその姿は、彼女の顔立ちも相まって某帝王も裸足で泣いて逃げ出しそうだなとそんなことを思った。