浪漫大正黒猫喫茶
 バックヤードから出てフロアに入ると、店先から戻り、ミルの手入れをしていたマスターさんと目が合った。
 するとふわりと微笑んで、

「やはりちょこさんは、洋装和装どちらでも似合いますね」

 当然のことのように言ってのけた。

「ありがとうございます。最初は違和感しかありませんでしたけど、着続けてると動きやすいものですね」

「喫茶店の仕事というものは存外、体力勝負なところがありますからね。見た目と機能性を兼ね備えた、となると、やはりこういうところに落ち着くんですよ」

 喫茶店は体力勝負。
 マスターの言う通り、初日はかなり堪えた。何なら、筋肉痛だって覚えた程だ。
 普段はあまり使わない筋肉を使った、ということなのだろう。
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