宝石みたいな婚前同居〜一夜限りのはずが強引御曹司に迫られています〜
料理を始めながら、スパイスにこだわる宝さんを想像して笑ってしまった。
なんかやたらとこだわって眉間に皺寄せてそう。
でもすごく美味しいカレーを作ってくれるんだろうな。
「結瑠できたぞ」って嬉しそうに笑いながら。
……ああ、想像するだけで胸がきゅうってする。
愛おしくてたまらなくて、また会いたくなってしまった。
宝さん、今日は遅いのかな。
早く会いたいな――。
その時、ピンポーンという音が鳴った。
もしかして帰って来たのかな?と思ったけど、宝さんがインターホンを鳴らすはずがない。
宅配でも来たのだろうか。
「はーい」
インターホンのカメラ越しにいたのは、若い女性だった。
『宝!やっほ〜!遊びに来ちゃった』
…………誰?
「えっと、どちら様でしょうか……?」
『あれ!?宝じゃない?あ、もしかしてお手伝いさん?』
「あ、いえ……」
やばい、なんて言えばいいんだろう……?
どうしようかと戸惑っていたら。
『……え、真凛?』
『あっ宝!ちょうどよかった!』
『なんでここに?』
『久々に帰って来たから宝の顔見に来たの』
どうやら宝さんが帰って来たようだ。インターホン越しに会話が聞こえる。
なんだかわからないけど、すごく親しそうだ。
私の胸中は言い様のないザワザワした気持ちがグルグルと渦巻いていた。